競馬で借金をするリスクとは?返済困難な状況の解決方法を弁護士が説明

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「競馬で借金をするとどんな問題があるのか」
「競馬の借金の返済が難しくなった場合はどうしたらいいのか」

競馬に熱中することで、繰り返し借金を行い、その返済に困っている方もいるかと思います。

本記事では、競馬の馬券を購入するために借金をするリスクや、その借金が払えなくなってしまった場合の解決方法について説明します。

1.競馬で借金をするリスク

競馬に熱中し、馬券の購入代金を捻出するために借金をしてしまった方は注意が必要です。

たとえば、競馬による借金は以下のようなリスクがあります。

競馬による借金のリスク

  1. 借金を続けてしまい借入額が増える
  2. 多重債務状態に陥る可能性がある
  3. 返済が困難になる

順にご紹介します。

(1)借金を続けてしまい借入額が増える

競馬は依存性があるため、やめようと思っても簡単にやめられず、一度競馬のために借金をしてしまうと繰り返し借金をしてしまうことがあります。

当たり馬券を外しても続けてしまい、自身の資金に余裕がなくなっても止められなければ、借金を重ねてしまう可能性があります。

負けたことによる借金を返済しようとして、さらに借入金で大金を賭け始めるようになると、あっという間に借金が膨れ上がります。

(2)多重債務状態に陥る可能性がある

借金を繰り返すことで、多重債務状態に陥る可能性がある点に注意しましょう。

競馬のために借金をすれば、あっという間に借入れをしている消費者金融などの貸付限度額に到達し、そこでも借入れを止められなければ、新たに別の消費者金融やクレジットカード会社から借入れをするようになります。

多重債務状態になってしまうと、借入れの総額が大きくなり、その借入元金に対する利息の支払金額が高くなるため、完済が困難になっていきます。

ご自身の収入アップや臨時収入などで返済の目途が経たないと、自力で返済することが難しい状態に陥りかねません。

なお、多重債務状態を放置するリスクについては、以下の記事でも解説していますので、合わせてご覧ください。

多重債務を放置するリスクとは?主な解決方法を解説

(3)返済が困難になる

多重債務状態になり、月々の返済額が多くなると、借金の返済が困難になる可能性が高まります。

借入金の月々の返済ができなくなると、支払いを滞納するようになります。

滞納状態が長期間続くと信用情報期間に事故情報が登録されたり、債権者から度々返済の督促を受けるようになります。

債権者からの返済督促を放置していると、最終的には訴訟を提起され、財産を差押えるなど強制執行を進められてしまう可能性が高まるため、債権者から督促が来ている方は早急に対処しましょう。

債権者からの督促、取立ての流れについては、以下の記事でも取り上げていますので、合わせてご参照ください。

借金の取り立てへの対処法とは?取り立て方法や主な流れを解説

2.競馬の借金を解決する方法

競馬のための借金の返済が困難になったときは、債務整理の手続きを行うことを検討しましょう。

債務整理とは、借金の返済の負担を軽減するための手続きのことで、主に以下の3つの方法があります。

債務整理の方法

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

順にご紹介します。

(1)任意整理

任意整理は、債権者と直接和解交渉を行うことによって、月々の返済額の減額や利息のカットを行って返済の負担を軽減する方法です。

借入金を3~5年の分割払いにスケジュールを組み直して返済していくことになります。

一定の収入がある方や借入額が大きくない人であれば、任意整理によって借金の完済の計画を立てやすいでしょう。

任意整理のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・月々の支払額の変額や利息のカットにより返済しやすくなる

・3年あるいは5年にわたって無理なく返済スケジュールを立てられる

・家族や知人に知られるリスクが低い

・任意整理の対象となる債務を選べる

・生活環境を変える必要がない

・任意整理に応じてくれない債権者もいる

・借金額自体の減額は期待できない

・信用情報機関に一定期間事故情報が登録される

任意整理では、和解に応じない債権者がいる可能性があるなどの懸念点はありますが、適した方には大幅に返済の負担を軽減できる有益な手続きです。

ご自身が任意整理に合っているか弁護士に相談してみましょう。

(2)個人再生

個人再生は、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金の返済額を大幅に減額してもらう手続きです。

以下のように借金の総額に応じて減額され、最大10分の1まで減額してもらえます。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 借金総額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超え1500万円以下 借金総額の5分の1
1500万円超え3000万円以下 300万円
3000万円超え5000万円未満 借金総額の10分の1

個人再生には、以下のメリットとデメリットがあります。

メリット デメリット
・借金が大幅に減額される

・手続中の資格制限が無く仕事の制限がない

・借金の理由に関係なく利用できる

・安定した収入がある人しか利用できない

・借金の総額が5000万円を超える場合は利用できない

・信用情報機関に一定期間事故情報が登録される

・官報に個人情報が掲載される

競馬のための借金額が大きくなり、任意整理では返済が難しい場合には破産または個人再生を検討することになります。

安定した収入があり、借金の総額が5000万円未満であれば、個人再生によって借金の大幅な減額を図ることが考えられます。

任意整理では解決が困難な場合は、破産または個人再生について弁護士に相談してみましょう。

なお、個人再生の具体的な要件については、以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

個人再生のための要件とは?弁護士が解説!押さえておきたい様々な要件

(3)自己破産

自己破産は、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、全ての借金の返済義務の免除を受ける手続きです。

以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット デメリット
・借金が全額免除される ・家や自動車など資産価値が高い財産は手放さなければならない

・資格制限があり、該当する資格で仕事をしている場合には一時的に休職や転職を行わなければならない可能性がある

・信用情報機関に一定期間事故情報が登録される

・官報に個人情報が掲載される

裁判所から免責の許可が認められれば、競馬で作った借金はゼロになります。

しかし、破産手続では、競馬などのギャンブルのための借金は免責不許可事由といって、その借金の免除を原則認めないという内容が定められています。

そのため、自己破産を行っても借金の返済義務が残り続ける可能性はゼロではありません。

もっとも、ギャンブルによって借金をしたことを反省し、破産手続に協力するなどから更生の余地が認められれば、裁判所の裁量によって免責が許可されます(裁量免責)。

実際に、当事務所でも、ギャンブルのための借金を負っている方の破産手続を進めることが少なくありませんが、上記のように誠実に対応することによって、きちんと支払義務の免除を認めてもらっています。

裁判所から裁量免責を受けられるように、しっかりと対応をしていくことが大切なので、競馬による借金でも諦めずに弁護士に相談してみましょう。

なお、以下の記事で免責不許可事由について詳しく解説しているので、合わせてご参照ください。

免責不許可事由とは?自己破産で免責されないケース

3.競馬の借金問題について弁護士に相談するメリット

競馬のための借金返済が困難になった場合には弁護士に相談してみましょう。

弁護士に相談することの主なメリットは以下の3つです。

弁護士に相談するメリット

  1. 無料で解決のためのアドバイスを受けられる
  2. 債務整理の手続きを一任できる
  3. 各債務整理の手続きに応じて適切なサポートが受けられる

順にご紹介します。

(1)無料で解決のためのアドバイスを受けられる

全ての法律事務所ではありませんが、借金の問題に関しては相談料を無料としている法律事務所は多くあります。

もし相談だけでなく手続きを依頼したとしても、その弁護士費用は契約した後に、分割で支払っていくことができることが多いため、手元のお金のことは気にせずに相談してみましょう。

なお、相談の時間は決められていることが多いため、借金の総額やどこから借りているかなどの基本的な情報はあらかじめ整理しておくことをおすすめします。

無料相談を実施しているかどうかは法律事務所のホームページを確認したり、電話をして確認をすることができます。

(2)債務整理の手続きを一任できる

弁護士に相談した後、手続きを依頼することになった場合は、そのまま債務整理の手続きを一任できます。

債務整理は、自分で行うこともできますが、法的知識や経験が必要なことも多くあるため、弁護士に依頼したほうが良いと思います。

任意整理であれば、債権者と交渉しなければならず、個人再生や自己破産の場合は裁判所に申立てをすることになります。

弁護士に依頼をするための費用は必要になりますが、弁護士のサポートの利点や手続きの手間を考えると依頼することがおすすめです。

(3)各債務整理の手続きに応じて適切なサポートが受けられる

債務整理のそれぞれの手続きに応じて適切なサポートを受けられます。

競馬は熱中すると馬券の購入代金が大きくなり、競馬のために多重債務状態に陥るとあっという間に借金が増えるため、競馬による借金は短期間で高額化しやすいです。

任意整理は、借金の期間が短いと、長期分割返済を内容とする和解に応じない場合があります。

また、破産でも、競馬のための借金は免責不許可事由に該当するため、借金の免除を受けるためには慎重に申立てを進めていく必要があります。

各債務整理の手続きを進める中で問題となる事情があったとしても、弁護士に相談、依頼をすることによって、その問題に応じた適切な対処についてサポートを受けながら、問題の解消を図ることができます。

まとめ

競馬のための借金は、繰り返ししてしまうとあっという間に金額が膨れ上がってしまいます。

もし競馬のための借金の返済が困難になってしまった場合は、債務整理の手続きを検討しましょう。

借金問題は、債務整理をすることで解消することができます。

競馬のための借金でお困りの方は、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきでは、借金に関する相談を無料で受け付けておりますので、競馬の借金でお困りの方もお気軽にご相談ください。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。