法人破産手続の債権者集会とは?弁護士が流れや内容を徹底解説
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「法人破産手続の債権者集会では何が行われるのか」
「債権者が債権者集会には全員出席してくるのか」
会社、法人の資金繰りが悪化し、法人破産の手続を検討している中で、このような心配や不安をお持ちの経営者や役員の方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、債権者集会の概要や流れ、弁護士に代理を依頼するメリットなどについてご説明します。
1.債権者集会の概要
法人破産手続の中では、破産手続開始決定の後に約3か月程度先の日程で債権者集会が開催されます。
債権者集会の開催場所は、法人破産の申立てを行った裁判所です。
以下では、この債権者集会の概要や出席者について解説します。
なお、法人破産の申立てに必要な書類や手続全体の流れについては、次の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(1)債権者集会とは
債権者集会は、破産管財人が債権者に対して、会社、法人の財産状況や、破産手続の進捗状況について報告し、債権者の意見を聴取するための集会です。
破産手続の中には、裁判所によって破産管財人が選任される「管財事件」と、選任されない「同時廃止事件」の分類があるのですが、会社、法人の破産手続は管財事件になり、債権者集会がが開催されます。
会社、法人が破産すると、その債権者は持っていた債権が回収できない又は大幅に減額されるなどの影響を受けることになります。
債権者集会は、破産手続の中でそのような影響を受ける債権者に対して破産手続の状況を把握し、意見ができるための機会を保障するものでもあります。
債権者集会は1回で終わる場合もあれば、1回目の債権者集会までに会社の資産を換価できなかったなどの事情によって次の債権者集会が指定され、複数回にわたって開催される場合もあります。
3か月程度の間隔で2回目以降の債権者集会期日が指定されることが多いです。
(2)債権者集会への出席者
債権者集会への出席者として、以下の関係人が挙げられます。
- 裁判官
- 破産管財人
- 法人の代表者
- 申立代理人の弁護士
- 債権者
このうち、債権者以外については出席の義務がありますが、債権者には出席の義務が無く、出席するか否かは任意となっています。
もし債権者が欠席したとしても、その債権者への配当に影響はなく、欠席を理由に債権者集会が延期されたりということもありません。
実務上は、会社、法人にほとんど残余財産がなく、債権者への配当が見込めないような状況では、債権者が出席することはほとんどありません。
特に金融機関などはあまり出席することはありません。
そのため、債権者が一人も出席することなく債権者集会が開催され、数分で終了するということも少なくないというのが実情です。
なお、破産手続での債権者への配当に関しては以下の記事でも詳しく解説していますので、ご参照ください。
2.債権者集会の流れと内容
債権者集会は、破産した会社の資産を換価していった結果、債権者への配当する財団ができたかどうかで流れが異なります。
債権者への配当がない場合、破産管財人による財産状況の報告があった後、そのまま異時廃止(手続の終了)に関する意見聴取が行われます。
他方で、配当がある場合には、別途、債権者への配当に関する報告が行われます。
以下では、それぞれの内容について補足の説明をします。
(1)破産管財人による財産状況の報告
破産管財人が破産する会社・法人の財産状況について、債権者に報告を行います。
具体的には、会社、法人がどのような財産を所有しているかや、破産管財人が各財産について換価処分を行っていくらになったかなどの破産管財人の業務についても報告がされます。
(2)配当がない場合
債権者に対して配当を行う際には、会社・法人に財産が残されていることが前提です。
しかし、会社、法人に財産がない場合には債権者に配当を行う原資が無いため、破産手続は異時廃止という終了になります。
(3)配当がある場合
会社に財産があって、破産管財人が財産について換価処分を行った結果、債権者に対する配当がある場合には、以下の流れで債権者集会が進行します。
#1:質疑応答
破産管財人の報告に対して、もし債権者から質問があれば行うことができます。
債権者から質問がある場合には、破産管財人又は破産手続開始決定前の事情については法人の代表者が応答することになります。
後述するように、破産申立を弁護士に依頼している場合は代理人が応答します。
#2:計算・配当に関する報告
破産管財人がすべての財産の換価を終了すると、各債権者にいくらの金額の配当を行うことができるのかを算定し、その結果を債権者に報告します。
また、配当の送金が完了した場合には、その旨の報告も行われます。
3.債権者集会に関する注意点
債権者集会について、法人の代表者の方が特に把握しておいた方がよい点を3点整理しています。
具体的には、以下のとおりです。
- 法人の代表者には出席義務がある
- 債権者集会へ出席する際の注意点
- 破産手続を弁護士に依頼する利点
順にご説明します。
(1)法人の代表者には出席義務がある
法人破産手続の債権者集会では、会社、法人の代表者には出席して説明を行う義務が法律上定められています(破産法40条3号)。
実際には、債権者集会に出席して代表者が説明を行うことはあまりないのですが、必要に応じて説明が行えるように出席することが必要です。
また、正当な理由なく債権者集会に欠席してしまうと、手続が進行しないリスクがあります。
もし病気や怪我などでやむをえず欠席する場合にも、事前に依頼をしている弁護士に連絡をとり、必要な診断書や証明書などを準備することが大切です。
(2)債権者集会へ出席する際の注意点
会社の代表者が債権者集会に出席する際には、いくつか留意しておくべきポイントがあります。
まず、債権者集会には時間を守って出席することが重要です。
裁判所では、同じ日に複数の破産事件についての債権者集会が並行して開催される場合が多いです。
そのため、会社の代表者の遅刻があると、他の債権者集会も遅延してしまうことになります。
弁護士に代理人を依頼している場合でも、代表者にも出席の義務がありますので、裁判所に指定された日時に遅れることなく出席することが必要です。
また、服装や持ち物については指定がありませんが、あまりラフすぎる格好や派手な色味のものを身に着けるのは避けましょう。
持ち物についても、特に指定はありませんが、破産申立書の控えや関連資料のほか、免許証などの身分証明書を携帯しておくことが望ましいでしょう。
(3)弁護士に代理人を依頼する利点
弁護士に代理人を依頼することで、債権者集会における説明や質疑応答の対応を代理人に任せることができるのは大きな利点といえます。
また、法人破産を行うことを検討している段階から弁護士に相談、依頼をすることで、手続きに必要な書類の作成や資料の収集などを一貫して任せることができます。
そのほか、弁護士に手続を依頼することによって、裁判所に納付する予納金を低く抑えられる可能性もあります。
法人破産の手続を円滑に進めるためには、会社の状況のことだけではなく、法的な知識も必要になるため、弁護士によるサポートが重要になってきます。
法人破産を検討される場合には、まずは弁護士に相談するのがよいでしょう。
まとめ
本記事では、法人破産における債権者集会の概要や流れ、注意点などについて解説しました。
債権者集会では、債権者が必ずしも出席するわけではなく、一人も出席しない状態で開催されることも少なくありません。
もっとも、会社、法人の代表者には出席の義務があるため、正当な理由なく欠席しないようにしましょう。
法人破産を検討される場合や債権者集会の対応に心配や疑問がある場合、些細なことでも弁護士に相談しておくことをおすすめします。
弁護士法人みずきでも、これまでに多くの法人破産の手続に対応してきました。
経験のある弁護士がお話を伺いますので、法人破産の手続を検討されている方はお気軽にご相談ください。
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