頚椎骨折とは?症状や後遺障害等級の認定ポイントを解説
「交通事故に遭い、頚椎を骨折していると診断された」
「頚椎を骨折した場合、どんな後遺障害が残る?」
交通事故によって怪我を負い、頚椎の骨折が生じた方の中には、このような不安や疑問をお持ちの方もいるかと思います。
頚椎を骨折すると、変形障害や運動障害、神経障害などさまざまな障害を引き起こします。
この記事では、頚椎を骨折したときに起きる症状や後遺障害等級が認定されるためのポイントについてご説明します。
1.頚椎骨折とは
頚椎は首(頚部)にある骨で、7つの椎骨という骨で構成されています。
頚椎骨折とは、この部分に骨折が生じた状態をいいます。
交通事故の衝撃によって、首に強い外力が加わると、上下方向から圧迫されたり、頚部が一方に強く曲げられて圧力がかかったりするなどして骨折が生じます。
(1)原因
頚椎骨折は、交通事故等によって首に大きな衝撃がかかることで引き起こされます。
頚椎は頭部に繋がっており、成人で平均5kg程度ある頭部を支えています。
身体に大きな衝撃が加わるとその重い頭部が激しく揺さぶられ、首が急激に曲がるなどして椎骨に圧力がかかり骨折が生じることがあります。
また、転倒するなどして上下方向に強い圧力が加わることで骨折が生じる場合もあります。
このような、圧力がかかって潰れるように骨が損壊する形の骨折を、圧迫骨折といいます。
頚椎のうち、交通事故によって骨折が生じる頻度が高いのは、頭蓋骨に近く、首の動作や頭部の重量を支える役目をしている第一頚椎(環椎)、第二頚椎(軸椎)です。
なお、圧迫骨折については以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
(2)症状
頚椎骨折による症状は主に首の痛みですが、損傷を受けた箇所や骨折の程度によっては首の痛み以外の症状が出ることもあります。
例えば、第二頚椎(軸椎)の腹側にある歯突起と呼ばれる骨は、第一頚椎(環椎)の窪みと合わさって首の可動域に関する機能を持ちます。
この部分に骨折が生じると、首の関節がうまく回らなくなるなどの症状が現れる可能性があります。
また、頚椎の中を通っている脊髄(頚髄)が損傷を受けると、損傷の程度によって、首から下の神経が通わなくなり、手足が動かなくなったり、痺れが生じたりする危険性もあります。
いずれにせよ、頸椎骨折の場合は、医師の指示どおりに治療を行うことが必要です。
2.頚椎骨折で認定される可能性がある後遺障害等級と認定のポイント
交通事故による頚椎骨折の程度や症状によっては、治療が終了した後も症状が残存し、その症状について後遺障害等級が認定される可能性があります。
頚椎骨折で認定される可能性がある後遺障害は、以下の3つです。
- 変形障害
- 運動・荷重機能障害
- 神経症状
それぞれの後遺障害で認定される可能性がある等級と認定基準、認定のポイントについて解説します。
また、後遺障害等級の認定申請の方法やポイントについては、以下で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。
(1)変形障害
頚椎の圧迫骨折が起きると、骨の一部がすり減ったような形で癒合してしまうことがあります。
このような状態となると、脊柱が曲がる変形障害が残ることがあります。
変形障害が該当する後遺障害等級と認定基準についてみてみましょう。
#1:等級と認定基準
変形障害になった場合、以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。
後遺障害等級 | 認定基準 |
6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの:
・複数の椎体の圧迫骨折により前方椎体高の合計と後方椎体高の合計の差が椎体1個分以上ある場合 のどちらか |
8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの:
・複数の椎体が圧迫骨折を残して後弯(=前屈)を生じた場合 圧迫骨折により生じたコブ法による側弯度が50度以上ある場合 のどちらか |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの:
・1個の椎体が圧迫骨折を残した場合 のいずれか |
#2:認定のポイント
変形障害では、骨折による椎体の高さの減少や脊柱の曲がった角度の程度に応じて等級の認定が行われます。
この角度の測定では、コブ法というレントゲン写真をもとにした測定方法が用いられるため、後遺障害等級の認定を受けるにはレントゲン検査が必須になります。
もっとも、骨折が生じた部位によっては、レントゲン検査では判別できない場合もあります。
例えば、第七頚椎(椎体)の骨折は、肩の骨とも重なっており、レントゲン検査だけでは判断できない場合があり、その場合にはCT検査などを必要に応じて受けることが重要です。
(2)運動・荷重機能障害
頚椎の骨折によって、首の可動域に制限が生じたり、頭や腰を支えることができなくなる場合もあります。
このような場合に認定される後遺障害等級と認定基準、認定のポイントについても、以下で解説します。
#1:等級と認定基準
運動障害・荷重機能障害では、以下のような等級に認定される可能性があります。
後遺障害等級 | 認定基準 |
6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの:
・頚部と胸腰椎のいずれにも圧迫骨折による変形が生じていることがレントゲン写真等によって確認できる のいずれかのために、頚部と胸部の両方が強直した場合 |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの:
・頚椎に圧迫骨折による変形がある のいずれかのために、頚部の可動域が参考可動域の半分以下に制限された場合 |
6級相当 | 頚部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの |
8級相当 | 頚部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの |
#2:認定のポイント
運動障害の等級の認定を受けるためには、関節などに運動制限が生じている事実に加えて、骨折が生じていたことがレントゲン写真などの画像上明らかになっていることが必要なことがあります。
運動障害は骨折だけでなく、軟骨や軟部組織の損傷によって引き起こされることもあります。
軟部組織の損傷はレントゲン検査では判断することができないため、MRI検査を受けるなどして原因の特定に努めることが必要な場合もあります。
(3)神経症状
頚椎を骨折したといっても、変形障害や運動障害が生じない箇所の骨折である場合もあります。
しかし、この場合も骨がもととは異なるおかしな形に癒合(不整癒合)することなどによる痛みが残る場合があります。
この場合には、12級13号か14級9号のいずれかが認定される可能性があります。
なお、頚椎の骨折にともなって頚髄を損傷した場合には、脊髄損傷による後遺障害が認められることもあります。
こちらについては以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
#1:等級と認定基準
頚椎骨折の神経症状で認定される可能性がある後遺障害等級は、以下のとおりです。
後遺障害等級 | 認定基準 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
#2:認定のポイント
12級13号と14級9号の認定基準は、症状について証明可能であるか、説明できる程度に留まるかという違いがあります。
12級13号に認定されるためには、痛みの原因となるような不整癒合があることがレントゲン写真などの画像所見によって医学的に証明できる必要があります。
一方、14級9号は画像所見による証明は求められていませんが、もともとの骨折の状態や治療経過等から事故によって生じ、今後も症状が持続すると説明できる場合に14級9号に認定される可能性があります。
まとめ
頚椎を骨折すると、疼痛以外にも症状が現れることがあります。
怪我の治療のために通院しても、これらの症状が残った場合には、後遺障害等級の申請を検討しましょう。
弁護士法人みずきは、交通事故問題に精通した弁護士が在籍しています。
交通事故で頚椎を骨折してしまった方や後遺障害が残ってしまった方はお気軽にご相談ください。
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