借金の救済制度には何があるの?利用するメリットとデメリットを解説
「借金の救済制度にはどのようなものがある?」
「借金の救済制度を利用するメリットは?」
借金の返済で困っている方の中には、救済制度について詳しく調べている方もいるのではないでしょうか。
一般に「債務整理」と呼ばれている救済制度を利用することで、借金の減額や返済義務の免除といったメリットを受けられる一方で、一定のデメリットもあります。
本記事では、借金の救済制度となる債務整理の種類や概要、メリット・デメリットなどについて詳しくご紹介します。
1.借金の救済制度
繰り返しになりますが、借金の救済制度のことを一般に債務整理といい、これにはいくつかの種類があります。
個人向けの債務整理の主な制度は以下の4つです。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- 特定調停
順にご紹介します。
(1)任意整理
任意整理は、債権者と直接和解交渉を行って借金の負担の軽減を図る方法です。
主に将来利息のカットや長期の分割払いを求めて交渉を行います。
これらを行うことにより、将来支払うことになる借金の総額および月の支払額を減らし、借金の負担を軽くするのが目的です。
任意整理の場合、すべての債権者を対象にする必要がありませんので、自動車ローンや住宅ローン、あるいは保証人がついている債務を対象外にして、影響を抑えることも可能です。
一方で、元本までの減額を認める債権者はほぼなく、借金の減額幅は大きくありません。
返済はできているものの少し負担が大きいと感じているような方は、任意整理を検討してみましょう。
(2)個人再生
個人再生は、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金をその総額によって決められた割合で減額した金額を原則3年で返済すれば、残りの借金の免除を受けられるという手続です。
返済額は、借金の金額に応じて最大で10分の1まで減額されることがあります。
減額の割合は以下のとおりです。
借金総額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 借金総額と同額 |
100万円以上500万円以下 | 100万円 |
500万円超え1500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
1500万円超え3000万円以下 | 300万円 |
3000万円超え5000万円以下 | 借金総額の10分の1 |
借金の減額幅が任意整理に比べて大きいことに加え、住宅ローンをそのまま支払い続けながらその他の債務を減額することも可能です(「住宅資金特別条項」の利用)。
もっとも、個人再生を行うにあたっては、借金が5000万円を超えていないことや、安定した収入があることなどの要件が設けられており、これをクリアしないと利用することはできません。
また、自動車ローンについてはほぼ支払を続けることはできず、ローンが残っている場合は自動車を引き上げられてしまいます。
さらに、個人再生では高額な財産を所有している場合には一定の基準額以上が最低弁済額に計上されるため、借金の減額がされない結果となり、個人再生を行うメリットがほとんどない、ということも考えられます。
個人再生を検討する場合には、手続の要件や個人再生を行うメリットがあるかどうかなどについて弁護士に相談・確認しながら進めていくことが望ましいでしょう。
(3)自己破産
自己破産は、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、一定以上の価値のある財産は換価して債権者に配当した上で、残った借金の返済義務を免除してもらう制度です。
資産価値の高い財産は手続の中で売却されてしまうデメリットはありますが、生活に必要な範囲の財産については手元に残すことができますし、何より返済義務が免除されることは大きなメリットです。
免責を受けられればその後は借金を返済する必要がなくなり、借金の返済に関する精神的負担から解放されることになります。
個人再生による借金の減額では解決が難しい場合は、自己破産を検討してみましょう。
(4)特定調停
特定調整は、裁判所が債務者と債権者を仲介して行われる手続で、裁判所に出向いて債務者自ら債権者と話し合うことで借金の減額を図ります。
任意整理と類似していますが、異なる点がいくつかあります。
まず、任意整理と異なり、手続に裁判所が積極的に関わる点です。
また、この手続では弁護士が代理人となることは想定されておらず、書類作成や裁判所への出廷、債権者との交渉は債務者自ら行わなければなりません。
この手続は債務者と債権者の調停という形式で行われるので、話合いがまとまればその内容に基づいて調停調書という書類が作成されます。
借金の減額内容に関しては任意整理と似ていますが、手続の過程が大きく異なる点に注意しましょう。
2.債務整理のメリット・デメリット
上記のような債務整理の各制度には、少し触れたようにメリットがある一方で、一定のデメリットもあります。
そのため、それぞれの手続にどのようなメリット・デメリットがあるのかを把握しておくことは大切です。
以下のとおり、手続ごとのメリット・デメリットを表にまとめましたのでご覧ください。
手続 | メリット | デメリット |
任意整理 | ・将来利息のカット等により返済金額を減らせる
・家族や知人に知られるリスクが低い ・任意整理の対象先を自由に選べる ・生活環境を変える必要がない |
・任意整理に応じてくれない債権者もいる
・借金の大幅な減額は期待できない |
個人再生 | ・借金が大幅に減額される
・手続中の資格制限が無く仕事の制限がない ・借金の理由に関係なく利用できる |
・安定した収入がある人しか利用できない
・借金の総額が5000万円を超える場合は利用できない ・官報に個人情報が掲載される |
自己破産 | ・借金が全額免除される | ・家や自動車など資産価値が高い財産は手放さなければならない可能性がある
・資格制限があり、該当する資格で仕事をしている場合には一時的に休職や転職を行わなければならない可能性がある ・官報に個人情報が掲載される |
特定調停 | ・将来利息のカット等により返済金額を減らせる
・自分のペースで行うことができる ・費用があまりかからない |
・自分で全ての手続を行わなければならない
・支払が滞った場合、調停調書に基づいてただちに強制執行が行われる可能性がある |
3.債務整理を弁護士に依頼するメリット
特定調停を除く借金の救済制度の手続は、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
1.手続に関する手間を省ける
2.弁護士に交渉を一任できる
3.成功する確率が高くなる
4.最適な解決方法の提案を受けることができる
順にご紹介します。
(1)手続に関する手間を省ける
弁護士に依頼すると、手続の手間を省けます。
救済制度を利用するためには、申立書などの書類を作成し、さまざまな必要書類の収集も合わせて行う必要があります。
特に個人再生や自己破産の場合、多くの書類を作成・収集しなければならず、専門知識がない状態では大きな負担となります。
弁護士に依頼することで、必要な書類の作成を依頼でき、書類の収集についてもアドバイスやサポートを受けることができます。
手続に関して専門的なサポートを受けて、スムーズに進めることができます。
(2)弁護士に手続を一任できる
債権者との交渉や裁判所との連絡を弁護士に任せることができます。
債務者本人が手続をする場合、債権者と直接交渉しなければなりません。
立場の強い相手に対して自分の主張を適切に訴えることは困難な場合が多く、交渉が難航して手続が失敗するリスクもあります。
また、裁判所を通した自己破産、個人再生の手続について、裁判所が丁寧に教えてくれるということはあまり期待できません。
こういった手続を進めるにあたっては専門家である弁護士に一任するのがおすすめです。
(3)成功する確率が高くなる
債務整理の経験のある弁護士に依頼すれば手続が成功する確率が高くなります。
経験ある弁護士は、手続をスムーズに進めるために必要な書類を不備なく揃えたり、相手側を説得するためのポイントを押さえて意見を主張したりすることが可能です。
成功する確率を高めるためにも、弁護士に依頼することが重要です。
なお、弁護士に手続を依頼する際に注目すべきポイントについては、以下の記事で詳しく取り上げていますので、合わせてご覧ください。
(4)最適な解決方法の提案を受けることができる
借金の状況等に応じて最適な解決方法の提案を受けられる点も大きなメリットです。
先ほど紹介したように、任意整理や個人再生、自己破産などいくつもの選択肢があります。
また、個人再生では手続を行うにあたって様々な要件が設けられています。
手続の利用にあたっての要件を充足しているか、どの手続を選択することができる状況かなどを判断するのは難しい場合も多いです。
弁護士に相談することで疑問や悩みを解消して、最適な手続選択を行うことができます。
まとめ
借金の救済制度として用意されている債務整理の手段は複数あり、借金の状況などに応じて使い分ける必要があります。
特に任意整理や個人再生、自己破産は負担を減らしつつ借金の減額を図ることができるため、手続の利用を検討している方は弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士法人みずきでは、借金に関する相談を無料で受け付けておりますので、救済制度の利用を検討している方はお気軽にご相談ください。
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