高次脳機能障害をわかりやすく解説!等級認定後の対応まで分かる!
「高次脳機能障害は具体的にどのような障害なのか」
「高次脳機能障害と認定されるにはどうしたらいいのか」
交通事故後の身体状態に何らかの異変を感じている方の中には、高次脳機能障害なのではと思われている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、高次脳機能障害についてわかりやすくご紹介します。
1.高次脳機能障害とは
そもそも高次脳機能障害とは、事故による衝撃等により脳が損傷することで、言語や記憶・行動・注意などの機能に何らかの支障が生じる状態のことです。
外見上は支障が分かりにくく、またどこまでが正常でどこからが異常であるのかの判断も難しいため、本人も周囲も気づかずに見過ごしてしまうことも少なくありません。
そのため、「見えない障害」と言われることもあります。
また、脳は様々な機能を担っており、損傷部位によって高次脳機能障害として現れる症状が異なる点に注意しましょう。
例として以下のような障害が発生する場合があります。
症状 | 症状例 |
注意障害 |
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記憶障害 |
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言語障害 |
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行動障害 |
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失認証 |
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社会的行動障害 |
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遂行機能障害 |
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交通事故の前後を比較して、上記のような症状に心当たりがある方は、高次脳機能障害になっている可能性が考えられるので、一度病院で診察してもらいましょう。
2.高次脳機能障害の場合に該当しうる後遺障害
高次脳機能障害と認定されるためには、等級ごとに認定基準を満たすことが必要です。
等級と認定基準に応じた具体的症状を以下にまとめています。
等級 | 認定基準 | 具体例 |
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。
身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや監視を欠かすことができないもの |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。
また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。 しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。
ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。 このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業能力などに問題があるもの |
後遺障害等級は全部で14等級ありますが、高次脳機能障害の場合には残存症状も重い場合が多く、上記のような高い等級に該当する可能性が高いです。
もっとも、高次脳機能障害やこれに類する症状があったとしても、日常や労働に与える支障が軽度の場合には、後遺障害等級の12級や14級が認定されることもあります。
等級 | 認定基準 | 具体例 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力および社会行動能力の4つのうち、いずれか1つ以上の能力が多少失われているもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的ににみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるもの |
後遺障害等級に認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求も可能になるので、治療を継続しても完治が難しい場合は、担当医より追って症状固定の診断を受けることとなるでしょう。
3.高次脳機能障害の等級認定に必要な書類
高次脳機能障害の等級認定を受けるために必要な書類がいくつかあります。
主な書類は以下のとおりです。
- 後遺障害診断書
- 治療経過の診断書・明細書
- カルテ・頭部・脳の検査の画像
- 日常生活状況報告書
- 神経系統の障害や頭部外傷後の意識障害についての医学的意見
順にご紹介します。
(1)後遺障害診断書
後遺障害等級を申請するための必須書類です。
治療が一区切りした症状固定日の時点で、どのような症状が残存しているのか、そしてそれがどのような裏付けがあるのかといった内容を診断書に記載してもらいます。
後遺障害等級を決めるうえで最も重要ともいえる書類ですので、しっかりと作成してもらうことが大切です。
(2)治療経過の診断書・診療報酬明細書
治療中の診断書や明細書も提出する必要があります。
主にどのような治療を行ったか、治療過程の様子を証明するために必要です。
過去に受け取った診断書や明細書は全て提出しましょう。
(3)頭部・脳の検査の画像
CTやMRIなどの画像検査結果も提出が求められます。
検査結果は客観的に症状を証明することができる貴重な資料です。
高次脳機能障害が認定されるためには、脳の損傷を医学的に証明する必要があります。
特に受傷後約3か月以内の検査結果は、外傷による病変を判断する上でとても重要なので、漏れのないように準備しましょう。
(4)日常生活状況報告書
高次脳機能障害は、病識のない障害と言われます。
つまり、被害者本人は、自身にそのような障害が発生していると認識しづらいのです。
一方で、医師は、患者が日頃どのようなことができてどのようなことに支障が生じているのかを把握することは困難です。
そのため、家族や勤務先の仕事仲間、学校の先生など、被害者の周囲にいる人たちに、被害者の日常について報告書を作成してもらうことが大切になります。
(5)神経系統の障害や頭部外傷後の意識障害についての医学的意見
高次脳機能障害の場合、担当医の医学的意見も重視されます。
特に神経系統にどのような障害が出ているのか、頭部外傷後に何の意識障害が発生しているのか等の医学的見解は客観的な資料として重要です。
ありのままの様子を記載してもらいましょう。
4.高次脳機能障害の等級認定のポイント
高次脳機能障害の等級認定を受ける上で、気を付けるべきポイントがあります。
主なポイントは以下の3つです。
- 適切な診断書を作成してもらう
- 家族が担当医に症状を伝える
- 弁護士のサポートを受ける
順にご紹介します。
(1)適切な診断書を作成してもらう
後遺障害診断書の内容によって認定結果が変わり得るため、できるだけ詳細に記載してもらうことが大切です。
症状固定の診断を受ける際に、気になっている異変等があれば、すべて伝えるようにしましょう。
また、作成してもらった後遺障害診断書を受け取ったら、実際の症状等と乖離がないか確認することも重要です。
(2)家族が担当医に症状を伝える
家族が被害者本人に代わって担当医に症状を伝えることも大切です。
高次脳機能障害では、言動や思考の変化に本人が気づいていない場合も多くあります。
可能であれば家族が通院に同行し、交通事故に遭う前と後で、何か変わったことがあれば、ありのままを伝えるようにしましょう。
(3)弁護士のサポートを受ける
高次脳機能障害は重篤な後遺障害が残存する事も多く、そのような症状を抱えながら書類を揃えたり相手方と交渉をしたりすることは、非常に大変です。
そのため、弁護士に依頼し、サポートを受けることをおすすめします。
弁護士に依頼すると、相手方とのやり取りの他、後遺障害申請のために必要な書類の取付など、あらゆることを任せることができる点がメリットです。
また、示談交渉の際には慰謝料を裁判所(弁護士)基準で交渉することが可能になるため、慰謝料の増額も期待できます。
もしも高次脳機能障害の可能性があると感じた場合には、なるべく早く弁護士に相談してみましょう。
まとめ
交通事故を原因として高次脳機能障害になると、日常生活において言語や記憶・行動・注意に支障が生じます。
これらが後遺障害であると認められると加害者側に対して後遺障害慰謝料等を請求できます
が、そのためには必要書類を揃えて申請手続きをしなければなりません。
これらの手続きをご自身で対応することはとても大変なので、是非弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人みずきでは、交通事故を原因とする高次脳機能障害に関する相談を無料で受け付けておりますので、日常生活を送る上で、何らかの異変を感じた方はお気軽にご相談ください。
なお、後遺障害等級認定の申請方法については以下の記事でご紹介しているので、そちらもあわせてご確認ください。
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