会社破産はいつ誰に相談すればよいのか?手続の流れと注意点も解説
「会社の破産についていつ誰に相談したらよいのかわからない」
「そもそも会社を破産するべきかどうかわからない」
会社の破産について、このようなお悩みをもっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、会社破産はいつ誰に相談するべきなのか、また、会社破産を進める場合の手続の流れや注意点についてご説明します。
1.会社破産の相談の注意点
会社の破産について相談をする際は、誰に・どのタイミングで相談するかが重要です。
結論としては次のとおりです。
- 弁護士に相談する
- なるべく早期に相談する
順にご説明します。
(1)弁護士に相談する
会社の破産について、そもそも破産をするべきか、破産をする場合にはどのような準備が必要か、破産をしたらどうなってしまうのかなどお悩みの方は、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士は会社の代理人として裁判所に自己破産の申立てを行うことを業務として取り扱っているため、法的に破産を行うのが相当かどうかの助言や、破産申立に当たっての準備、破産申立をしたらどうなるかについて相談することができます。
会社破産の申立手続は複雑であり、裁判所に提出する申立書の作成や必要となる資料の収集にも専門的な知識や経験が必要になってきます。
破産申立を行うに当たってやってよいこと、いけないこともあります。
破産手続の内容やその後の話をきいておくことで破産手続を行うかどうするかより具体的な検討ができると思います。
また、法人破産を弁護士に相談や依頼をせずに判断して進めていくことは中々難しいです。
弁護士に相談し、もし破産の申立てを依頼をすることになれば、金融機関や買掛業者などの債権者や従業員への対応も弁護士と進めていくことができますので、会社の負担を抑えることができます。
(2)なるべく早期に相談する
会社破産の手続には不当に会社の財産を流出させてしまうことなどやってはいけないこともあります。
また、破産申立を進める場合にはどの段階で事業を停止し、従業員を解雇するかなど予め算段することも必要になることがあります。
さらには、破産申立てをするためには弁護士費用や裁判所へ納める予納金が必要にもなるため、会社の資金がゼロになってしまった状態では進めることが難しくなってしまうこともあります。
そのため、会社の資金繰りが悪化して資金ショートリスクが見込まれていたり、長期的に赤字が続いたりしている場合は、弁護士に早いうちに相談してみましょう。
破産申立を進めるという決断に至っていない段階でも早めの相談を行うことが大切です。
2.会社破産とは何か
会社の倒産手続には、事業を停止して会社の財産を処分して債務を返済して会社を消滅させる清算型手続きである特別清算や破産、事業を停止せずに必要な財産を維持しつつ債務を圧縮して債権を目指す再建型手続きである民事再生や会社更生などがあります。
会社破産は、清算型の手続の1つで、裁判所に申立てをして行います。
ここでは上記会社の倒産手続のうち会社破産についてご説明します。
(1)会社破産とはどのような手続か
会社破産によって最終的に法人格が消滅するため会社は事業を継続できなくなりますが、法人格が消滅することで会社の借金も消滅するため、返済する必要がなくなるという点が大きなメリットです。
会社破産は裁判所に申立てを行い、裁判所や破産管財人の管理のもとで進められる手続であることから透明性が高く、すべての債権者が平等に取り扱いを受けるというメリットもあります。
会社破産が認められる要件としては、そもそも会社が「債務超過」または「支払不能」の状態に陥っていることが必要です。
会社の債務が資産を上回っている状態であるか、継続的に債務の弁済ができない状態でなければなりません。
(2)会社破産の流れ
会社破産は、以下の流れで進められます。
- 弁護士と相談、依頼
- 弁護士から債権者に受任通知の送付
- 裁判所への破産申立
- 裁判所による破産手続開始決定
- 裁判所による破産管財人の選任
- 破産管財人による会社財産の換価処分
- 債権者集会
- 配当
- 配当がなければ廃止決定・配当があれば終結決定
弁護士は会社破産申立の依頼を受けると、債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知には弁護士が代理人として依頼を受けていることや、直接依頼者への連絡、取立てをしないことを求める内容が記載され、直接の連絡や取立てを停止させる効果があります。その後、破産申立の準備を行い、裁判所に会社の破産を申立てします。
裁判所から手続開始決定が出ると破産管財人が選定され、債務者に代わって会社の財産の管理をし、換価処分を行い財産を金銭に換えていきます。
破産管財人が金銭を債権者に配当した後、裁判所によって終結決定が出され、破産手続は終了です。
3.会社破産を進めるにあたっての注意点
会社破産を進めるにあたっては、いくつか注意するべきポイントがあります。
ここでは3つの注意点についてご説明します。
(1)従業員への対応
会社破産は事業を停止して法人格を消滅させるための手続ですから、従業員がいる場合には解雇をしなければなりません。
解雇する際は、解雇日より30日以上前に解雇予告をする必要があります。
ただし、解雇予告を出すタイミングには注意しましょう。
なぜなら、会社破産をすることが従業員を通じて債権者に知られてしまう可能性があるからです。
破産手続をすることが外部に漏れてしまうと混乱を招いたり、資産の流出が生じる恐れがありますので、解雇予告を出すタイミングについて弁護士とよく相談しましょう。
また、従業員に対し未払いの賃金がある場合は未払賃金立替制度の利用も考えられます。
未払賃金立替制度とは、会社の倒産によって賃金が支払われないまま退職した従業員に対して、国の機関が未払の賃金の一部を立て替えて払う制度です。
労働基準監督署もしくは独立行政法人労働者健康安全機構で実施されています。
ただし、立替払を受けるためには会社・労働者の両方に条件があります。
使用者(会社、個人事業主)の条件は、「1年以上事業活動を行っていたこと」、「倒産したこと」です。
また、労働者の条件は「倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること」です。
制度を利用する際は、条件に当てはまるか確認しておきましょう。
(2)手続前に外部に情報が漏れないようにする
会社破産をするうえでは、外部に公表するタイミングもとても重要です。
もし破産手続を進めていることが外部に漏れてしまうと混乱を招く恐れがあります。
例えば、特定の債権者による抜け駆け的な債権回収が行われたりすることも考えられます。
会社破産では、会社の所有する財産を換価処分し金銭に換え、債権者に分配しなければなりません。
もし早い段階で破産手続をすることが外部に漏れてしまい、一部の債権者によって少しでも多くの債権を回収しようと抜け駆け的な債権回収が行われれば、他の債権者にとっては不平等な結果となってしまいます。
(3)代表者の自己破産も必要なケースが少なくない
会社破産では、代表者の自己破産も必要なケースが少なくありません。
会社の借金の保証人が代表者が行っている場合、会社破産によって会社の債務は消滅しても、代表者の補償債務は残存します。
そのため、会社と同様に代表者の方も保証債務の返済できなければ代表者個人の自己破産も行わなければなりません。
もっとも、破産手続終了時に法人格の消滅を予定した会社とは異なり、個人は当然その後も生活をしていきますので、全ての財産が換価されるわけではなく手元に自由財産(生活に必要な最低限の財産)を残して手続をすることができます。
個人が自己破産をすると信用情報機関に一定期間事故情報が載り、その間借入れが難しくなるといったデメリットはありますが、一定の財産を手元に残し、返済困難な借金の編成義務の免除を受けることには大きな利点があり、経済的再起のために必要なことです。
個人の破産についても会社の破産と一緒に弁護士に相談しましょう。
まとめ
会社破産の相談は実際に破産申立を行うことも想定し、手続きを代理して進めることができる弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人みずきでは、これまでに多くの会社破産の相談に対応してきました。
赤字の継続や資金繰りの悪化によって会社の破産についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
弁護士がご状況を詳しくお聞きし、最適な方法についてアドバイスいたします。
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