会社破産はいつすれば良い?最適なタイミングとは
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「会社破産をしたいけれど、いつやるべきかわからない」
「自分の業種ではいつどんなことをするべきかわからない」
会社破産は、漠然と「経営状態が悪化して借入金の返済のめどが立たない場合に行う」というイメージがありますが、赤字が何期続いたら手続きしなければならない、などと具体的な数字の決まりはありません。
さらに、業種によってもさまざまな特殊性があり、破産手続をすると決めるタイミングを一律に判断するのは難しいことです。
この記事では、会社破産の最適なタイミングや、業種によって特に注意するべき点についてご説明します。
1.会社破産のタイミングとは
会社破産をするためには、その会社が「支払不能」または「債務超過」の状態にあることが要件です。
支払不能とは、破産法第2条11項において“債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう”と定義されています。
つまり、一時的に借金を返済できない状態は支払不能とは言えません。
次に、債務超過とは破産法第16条第1項において、“債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう”と定義されています。
つまり、客観的に見て、法人の債務が資産を上回っている状態です。
会社破産の手続きをするタイミングとしては、資金繰り上、事業の継続が困難になってきた時点が一つの目安となり、具体的には売上げが急激に減少している・長期的に赤字が続いている状態などが挙げられます。
会社の破産手続を進めるのが遅れたとしても会社の資金が無くなってしまう前に行いましょう。
会社破産をするためには一定の資金・費用が必要です。
法人破産の手続きを依頼する弁護士に支払う弁護士費用と、裁判所に納めなければいけない予納金が必要になります。
破産法では、予納金(裁判所に納める費用のことです。)の支払が無い時は破産手続開始決定ができないと定めています。(破産法第30条)
会社の経営状態が支払不能や債務超過の状態にもかかわらず放置してしまい資金が無くなり、手続費用も無くなってしまっては破産もできませんので、ある程度資金に猶予があるうちに行う必要があります。
2.会社破産をしないとどうなるのか
会社の業績不振や資金繰りの悪化などにより経営状態が悪くなっているとき、会社破産をせずに放置するとどうなるのでしょうか。
ここでは、2つの生じる事態をご説明します。
(1)給料を払えない可能性がある
本来従業員の給料の支払は契約上義務付けられているため、支払が厳しいからと言って支払わないわけにはいきませんが、資金繰りが悪化して原資が無い以上、従業員の給与が支払えなくなってしまいます。
給料が支払えないまま破産申立を行う場合ももちろんあります。
その場合、未払賃金立替制度を利用するなどの対処方法があります。
未払賃金立替制度とは、会社が破産したことで従業員に給料が支払えない時に、未払いの賃金の一部を労働者健康福祉機構が代わりに支払うという制度です。
ただし、この制度は倒産について裁判所への申立て等から6か月前に退職した従業員を対象とする要件があるため、たとえば給与の未払いがあって従業員が退職した後も法人破産を行わずに放置してしまうと、この制度の利用ができずに給与の未払いの立替を受けられない人が出てしまう可能性があります。
(2)借金の返済督促が続く
会社破産をしない限り、借金の返済督促が続きます。
会社破産とは、会社の所有する財産を換価処分し金銭に換え、債権者への配当に充てたうえで、最終的に法人格を消滅させる手続です。
法人格の消滅とともに会社が抱える負債も無くなるため、借金を返済する必要がなくなるのです。
しかし、会社破産をしなければ会社は存続したままとなりますので、存続している以上、債権者からは借金を返済するよう督促されます。
3.業種別・会社破産の注意点
会社破産を進めるにあたっては、事業停止日をどのように定めていくのかといったことの他にも様々な点に注意しなければなりません。
ここでは、4つの業種についてその特殊性から手続の際に気を付けなければならないことについてご説明します。
(1)飲食店
店舗を借りて営業している場合、できるだけ余計な賃料が生じることを抑える必要があります。破産債権が増加することを防げますし、敷金が返ってくることもあります。
賃貸物件では退去の3~6か月前に解約予告をしなければなりません。
破産申立の準備に入った段階で速やかに解除通知を出し、発生する賃料を解約予告に必要な期間分に抑えるように試みましょう。
また、冷蔵庫やキッチン設備、飲料や食材などは適正価格で換価できるようにする必要があります。
居抜きで入る新たな賃借人が見つかれば、什器等の換価ができますし、原状回復費の支出を抑えられますので新たな賃借人を見つけることができるとよいです。
法人の資産を売却して得た金銭は債権者への配当に充てる原資になるため、不当に安い金額で売却してはいけません。
(2)フランチャイズ店
フランチャイズの加盟店は、フランチャイジー(加盟店)がフランチャイザー(親企業)とフランチャイズ契約を結び、個人や法人が本部からノウハウや商号の提供を受けて、その加盟店を経営する仕組みです。
加盟店側が破産手続をする場合、本部にも影響が出ます。
もし加盟店が破産をしてフランチャイズ契約を解約する場合、本部は回収できなかったロイヤリティ等の債権を加盟店から加盟保証金(契約を結ぶ時にフランチャイジーがフランチャイザーに対して支払うお金)と相殺する形で回収します。
加盟店の売上が一旦本部に入った後、ロイヤリティ等を控除された残金が本部から支払われる仕組みになっていることも少なくないため、破産に向けた資金繰りを予め検討し、どの時点で事業を停止すれば手元に破産を行うための資金を残すことができるのか確認して決めていく必要があります。
(3)アパレルメーカー
アパレルメーカーでは、在庫や売掛金の管理と処分を適切に行う必要があります。
季節の関係上在庫を処分する必要が生じた際、著しく安い金額で販売してしまうと、裁判所に廉価処分と判断されてしまう可能性があります。
さらに、百貨店や小売店と多数の取引しているアパレルメーカーでは、売掛金の管理や回収も速やかに進めなければなりません。
小売店が売掛金の支払いを拒むことがありますが、その場合も状況を説明しながら売掛金の回収に応じるよう交渉していきましょう。
どうしても回収できない場合は、商品を返品してもらい換価処分する方法も検討する必要があります。
(4)ホテル・旅館などの宿泊業
ホテルや旅館などの宿泊業では、事業停止日以降に予約をしている宿泊客に対して状況の説明をする必要があります。
また、事前に代金を支払ってもらっている場合、宿泊客は代金を返還するよう請求する権利を持つ「債権者」です。
破産手続の申立の際には債権者として扱い、債権者一覧表に記載して、その後は破産手続きの中で対応していかなければなりません。
まとめ
資金繰りに困難を感じたら、状況が悪化して資金が底を尽き、身動きが取れなくなってしまう前にまずは弁護士に相談しておきましょう。
弁護士法人みずきでは、さまざまな業種の法人について破産手続を取り扱っています。
法人破産を検討されている会社、代表者の方にとって少しでも負担を軽減できるよう、当事務所の法人破産に関する経験を有する弁護士が親身にお話をお聞きしますので、お気軽にご相談ください。
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