自動車事故の過失割合とは?過失割合に納得がいかないときの対処法

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
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「自動車事故の過失割合はどのようなパターンがあるのか」
「過失割合に納得がいかないときはどうしたらいいのか」

交通事故の被害に遭われた方で、自動車事故の過失割合について調べている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、自動車事故の過失割合や納得がいかないときの対処法についてご紹介します。

1.自動車事故の過失割合

自動車事故の過失割合

一口に自動車事故と言っても、車対車、車対二輪車、車対自転車、車対歩行者など、様々なパターンがあります。

一般的には、交通弱者であるほど過失割合が少なくなっていきます。

ここでは車対車の場合を例に挙げて見ていきたいと思います。

車対車の事故のなかにも、道の状況やぶつかり方でいくつかのパターンに分けられます。

主なパターンは以下の4つです。

主なパターン

  1. 交差点の事故
  2. 対向車同士の事故
  3. 同一進行方向の事故
  4. 駐車場内の事故

順にご紹介します。

(1)交差点の事故

事故の類型が一番多いのが交差点の事故です。

例を挙げると以下のような過失割合が設けられています。

  • 信号機ありの直進車同士は、青信号:赤信号=0:10

  • 信号機なしで同幅の交差点は、左側:右側=4:6

  • 信号機なしで一方が幅が広い交差点は、広い幅:狭い幅=3:7

  • 信号機なしで一方に一時停止がある交差点は、一時停止なし:あり=2:8

  • 信号機なしで一方が優先道路の交差点は、優先:劣後=1:9

  • 直進車と対向右折車の右直事故の場合は、直進車:右折車=2:8

  • 優先道路に右折車が合流する場合は、優先:右折車=1:9

あくまでこれらの過失割合は基本的な割合になります。

事故の状況によって変化することは留意しておきましょう。

(2)対向車同士の事故

対向車同士の事故で考えられるケースは、対向車がセンターオーバーした場合です。

この場合、センターオーバーしてくることを予想しながら走行している人はいないので、被害者に過失はなく、オーバーした対向車に100%の過失が認められます。

ただし、道路の幅が狭い場合や工事等によって中央をはみ出さざるを得ない場合は、被害者側もセンターオーバーを予想できるため、過失割合が生じる可能性があります。

(3)同一進行方向の事故

同一進行方向の事故では、以下のようなケースと基本過失割合が考えられます。

  • 進路変更を行った車両と後続車の事故は、後続車:進路変更車=3:7

  • 追越禁止場所で追越をかけた場合は、先行者:追越者=1:9

  • 停止中の車両に後続車が追突した場合は、停止車両:後続車=0:10

状況によって前方車と後方車の過失割合は変化するため、どの部分に過失があるのか確認しておきましょう。

(4)駐車場内の事故

駐車場内は、通常の路上よりも車が複雑な動き方をすることが想定されますので、過失割合もそれを前提として考えられています。

  • 駐車スペースに駐車している車両に接触した場合は、駐車車両:衝突車両=0:10

  • 駐車スペースからの発進車両と通路走行車両に衝突した場合は、走行車両:発進車両=3:7

  • 駐車場内通路での出合いがしらの事故は、走行車両A:走行車両B=5:5

  • 駐車スペースに駐車しようとしている車両と通路走行車両の事故は、駐車中車両:走行車両=2:8

事故状況によって過失割合が変動するため、状況を整理しておきましょう。

2.過失割合の重要性

過失割合の重要性

これまで基本的な過失割合について説明しましたが、少し事情が異なるだけでも1割もの過失割合が変動することは珍しくありません。

そして、過失割合が1割異なるだけで、受け取ることができる賠償金に大きな差が出てしまいます。

とりわけ、人身損害の場合、治療費等の自分が受け取るわけではない損害についても過失割合は適用されます。

しかも、治療費は加害者側の保険会社が病院などの医療機関へ直接支払っていることが多いため、いざ示談となった際に思いがけずもらえる金額が少ないということが生じます。

例えば、過失割合が9:1、治療費で100万円かかり、慰謝料として100万円が認められる事故があったとしましょう。

治療費は保険会社が既に支払い済みです。

この場合、イメージとしては

100万円×0.9=90万円

と、慰謝料90万円が、相手からもらえるように思えます。

しかし、実際は、

200万円×0.9‐100万円=80万円

となり、最後にもらえるのは80万円となってしまいます。

これは、治療費の自己負担分(10万円)を既に相手方が支払っているから、それを最後に慰謝料(90万円)から差し引かれてしまうからです。

このように、自分に過失割合が認められると、治療費などとの兼ね合いも考えなければならなくなります。

また、物損の場合には相手方の損傷についての賠償も行わなければなりません。

たとえば、加害者と被害者の被害がそれぞれ500万円で、加害者と被害者の過失割合が9:1の場合、被害者が請求できる損害賠償金は以下のような計算になります。

①被害者の請求できる賠償金は、500×0.9(加害者の過失分)=450万円
②加害者の請求できる賠償金は、500×0.1(被害者の過失分)=50万円
③加害者と被害者が請求できる賠償金を相殺すると、被害者の請求金額は450‐50=400万円

次に、被害者の過失が2割の場合に、請求できる損害賠償金を計算してみると以下のとおりになります。

①被害者の請求できる賠償金は、500×0.8(加害者の過失分)=400万円
②加害者の請求できる賠償金は、500×0.2(被害者の過失分)=100万円
③加害者と被害者が請求できる賠償金を相殺すると、被害者の請求金額は400‐100=300万円

過失割合は、示談金の金額に直結する要素なので、適切な割合を定めることが非常に大切になります。

3.過失割合に納得がいかないときの対処法

過失割合に納得がいかないときの対処法

過失割合に納得がいかないときは、弁護士に相談しましょう。

過失割合とは、法律上の概念なので、そもそも一般的な感覚で理解することは難しいものです。

ですので交通事故、とりわけ交通事故訴訟に強い弁護士に相談するのが最善策です。

弁護士に相談すれば、過失割合を有利に動かす修正要素の主張ができることが発覚するかもしれません。

修正要素とは、基本となる過失割合から数字を動かすための条件であり、見通しや速度、道の状況など、具体的な事故状況を踏まえて検討する必要があります。

この修正要素については、裁判所の考え方を熟知していないと上手く主張することができず、納得のいく解決にならないことが珍しくありません。

納得のいかない過失割合を提示されたら、その場で応じずにすぐに弁護士に相談してみましょう。

まとめ

自動車事故の過失割合のパターンはいくつもあり、状況によって大きく変化します。

事故に巻き込まれたら、まずは事故の状況を整理して、自身の過失がどのくらいあるのか確認することが大切です。

その後、状況証拠等を踏まえて過失割合の修正要素を主張し、納得のいく結果になるように交渉を行いましょう。

なお、加害者側から提示された過失割合に納得がいかない場合は、弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきでは、自動車事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、過失割合でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 金子 周平 弁護士

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