休業損害証明書は自分で記入してもいいの?会社に作成してもらえない場合の対処法

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「休業損害証明書は自分で記入してもいいのか」
「休業損害証明書を会社が作成してくれないときはどうしたらいいのか」

休業損害を請求するためには休業損害証明書が必要ですが、会社が作成してくれず困っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、休業損害証明書を自分で記入してもいいのかをはじめ、休業損害証明書のポイントや会社が作成してくれないときの対処法についてご紹介します。

1.休業損害証明書は自分で記入していいのか

結論から述べると、休業損害証明書は自分で記入するのではなく、会社に記入してもらう必要があります。

休業損害証明書とは、給与所得者が交通事故による怪我などが原因で仕事を休んだことと、その欠勤によって減ってしまった収入の額を証明するための書類です。

そもそも、休業損害証明書の記入は、自分で行うことは認められていません。

自分で記入を行った場合であっても、保険会社から勤務先に対して、記載内容の照会が行われれば、会社が作成していないことが判明します。

以後の示談交渉において不利に働く可能性があるため、自分で記載することはやめましょう。

休業損害証明書の書式は加害者側の保険会社からもらうことができますので、送ってもらい、勤務先の担当部署に作成をお願いするようにしましょう。

2.休業損害証明書の確認ポイント

開業して間もない会社など、休業損害証明書を発行したことがない会社も多く、作成してもらった休業損害証明書に不備があることも十分考えられます。

そこで、会社から休業損害証明書を受け取ったら、いくつかのポイントを確認することが大切です。

特に以下の5つの項目は、入念なチェックをすることをおすすめします。

 

入念チェックポイント

  1. 休業期間
  2. 休日等の日数
  3. 事故前3か月の支給された給与額
  4. 社会保険等の給付の有無
  5. 事故前年度の源泉徴収票(別途用意が必要なもの)

 

休業損害証明書に不備があれば、支払が遅れる可能性があるので、提出前にひととおり確認しておきましょう。

(1)休業期間

まずは、休業期間が適切に記入されているか確認しましょう。

休業期間とは、交通事故が原因で実際に休業した期間のことです。

誤った休業期間が記入されていると、適切な額の休業損害を請求することができなくなる可能性があります。

休業期間のミスがないように、勤怠表などと照らし合わせながら確認することが大切です。

(2)休日等の日数

休業損害証明書には、休業期間の内、どの日に仕事を休んだのか記入する欄があります。

また、休業期間中の欠勤日数や有給休暇取得日数、遅刻回数、早退回数が記入されているかも確認しましょう。

休日の記入は、欠勤は〇、有給休暇は◎などと記入するシンプルな形式になっており、勤務先の所定休日には×印を記入する様式になっています。

また、裏面には遅刻・早退などを記入する欄もありますので、忘れずに記載しましょう。

〇印の数と日にちを入念に確認しておきましょう。

(3)事故前3か月の支給された給与額

休業損害証明書には、事故前3ヶ月の支給された本給・付加給・社会保険料などを記入する欄があります。

付加給とは、時間外手当・通勤手当・皆勤手当などが該当することになります。

この支給額を基準に休業損害が計算されることになるため、誤りがないように確認しておくことが大切です。

また、給与所得者は給与の締切日、パート・アルバイトは所定勤務時間や給与計算基準(時給や日給など)が記入されていることも確認しましょう。

給与額には賞与が含まれない点には注意が必要です。

(4)社会保険等の給付の有無

交通事故の被害によって社会保険等から給付を受けているかどうかについても記入しなければなりません。

たとえば、労災保険から休業補償の給付を受けている場合、休業損害をもらうと重複して受給したことになります。

この点を確認するために記載を求められている部分といえるでしょう。

(5)事故前年度の源泉徴収表(別途用意が必要なもの)

事故前年度の源泉徴収票が必要となります。

事故前年度の源泉徴収票があるか確認しましょう。

源泉徴収票が用意できない場合としては、①勤務して間がない場合や②業務委託契約の場合が考えられます。

①勤務して間がない場合は、事故前年度の源泉徴収票を用意することができないので、提出できません。

このような場合には、勤務先で働いている事を証明する資料として、代わりに雇用契約書や労働条件通知書等を提出することになります。

②業務委託契約の場合は、会社が源泉徴収を行わないので、源泉徴収票を発行してくれません。

このような場合には、税務申告のために確定申告を行っていると思いますので、確定申告書や賃金台帳の写しを提出することになります。

3.休業損害証明書を記入してもらえない場合の対処法

珍しいケースではありますが、勤務先が休業損害証明書を記入してくれない場合もあります。

休業損害証明書の作成の協力を得られない場合は、代用となる書類を用意し保険会社に提出すれば、休業損害の手続が可能です。

休業損害を請求するためには、事故の被害によってどのくらい減収したかを証明することが求められます。

そのため、事故前の給与明細書や給与の振込口座の通帳のコピーを提示することで、減収を証明することになるでしょう。

また、休業日数に関しては勤怠表の写し等で証明することができるため、特別な書類を揃える必要はありません。

休業損害証明書を会社が作成してくれないからといって、休業損害の請求を諦めないようにしましょう。

なお、これらの方法はかなり例外的であり、これで保険会社が休業損害を支払ってくれるかは不明なので、この時点で弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すれば、弁護士に会社を説得してもらうこともできますし、適切な対処法に関して相談することもできます。

まとめ

休業損害証明書は勤務先が記入するものなので、自分で記入しないようにしましょう。

会社によっては休業損害証明書の作成に慣れていない場合があるため、適切に記入されているか入念にチェックすることが大切です。

不備があると、休業損害の支払が遅れます。

提出前に本記事で紹介した注意点ポイントを参考に、不備がないか確認してみましょう。

なお、勤務先が休業損害証明書を作成してくれない場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、休業損害に関する相談を無料で受け付けておりますので、休業損害証明書でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

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