会社役員でも休業損害を請求できるのか?計算方法を解説

執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
法律トラブルへの対処方法や解決方法は、個人の方、法人の方ごとに千差万別ですが、お早めにご相談いただくことで、選べる選択肢も多くなります。
どのような解決方法があなたにとって最適な選択となるのか、一緒に検討していきましょう。

「会社役員でも休業損害を請求できるのか」
「会社役員の休業損害はどのくらい請求できるのか」

交通事故によって働けなくなった会社役員の中には、休業損害を請求できるか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、会社役員の休業損害について詳しく解説していきます。

1.会社役員でも休業損害を請求できるのか

会社役員でも休業損害を請求できるのか

結論から述べると、会社役員でも条件さえ満たしていれば、休業損害を請求することができます。

その条件は、役員報酬に労働対価が含まれているかどうかです。

一般社員のように労働報酬を受け取っている場合は、役員であっても休業損害を請求できることになります。

報酬の内訳が利益配当のみの場合は、原則、休業損害等を請求することはできません。

2.会社役員の休業損害の計算方法

会社役員の休業損害の計算方法

会社役員の休業損害の計算方法は、一般の給与所得者とは異なります。

休業損害の計算方法は以下のとおりです。

『1日あたりの労働対価(役員報酬-利益配当分)×休業日数』

計算式を見ると簡単に見えますが、実際は労働対価分の判断は難しい傾向があります。

その理由は、労働対価分は以下のような複数の項目を参考に判断されるからです。

  • 被害者である当該役員の年齢・地位
  • 当該役員やほかの役員の役員報酬額・職務内容
  • 従業員の給与や職務内容
  • 会社の規模・収益
  • 同族会社であるかどうか

そのため、会社役員が休業損害を請求する場合は、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。

3.休業損害を請求する際の注意点

休業損害を請求する際の注意点

会社役員は会社員と異なる給与形態なので、休業損害の請求には注意が必要です。

適切な休業損害を請求するためには、役員報酬における労働対価分の割合を主張しなければなりません。

労働対価分がどのくらいなのか明確になっていない場合、労働対価分が争点になることが多いです。

そのため、証拠書類を根拠に労働対価分を証明する必要があります。

主な証拠書類は以下のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 法人事業概況説明書
  • 決算報告書
  • 月次損益計算書

もし会社役員で休業損害の請求を考えている方は、これらの書類を持参して弁護士に、休業損害の請求が可能かどうか相談しましょう。

4.会社役員が請求できる損害賠償金

会社役員が請求できる損害賠償金

会社役員の中には、休業損害を請求できない場合がありますが、実は請求できる損害賠償金は他にもあります。

以下の3パターンで請求できる損害賠償金の内容が異なる点に注目です。

損害賠償金の内容が異なるパターン

  1. 後遺障害がない場合
  2. 後遺障害がある場合
  3. 死亡した場合

順に説明するので、損害賠償請求をする際の参考にしてみてください。

(1)後遺障害がない場合

後遺障害に発展することなく、無事に完治した場合でも、いくつかの費用を請求することができます。

主な請求費用は以下のとおりです。

  • 治療関係費(入院費、治療費、通院交通費など)
  • 入通院慰謝料

まず、入院費や治療費、交通費など治療にかかった費用を請求することができます。

ただし、通院交通費に関しては、請求できる費用は公共交通機関を利用した場合です。

タクシーを利用した場合は、必要性が認められない限り交通費として請求できないので注意しましょう。

また、入通院によって負った精神的苦痛に対する慰謝料も請求できます。

治療のために拘束され、自由に時間を使えないなどの理由でストレスを感じることもあるでしょう。

たとえ休業損害を請求できないとしても、これら2つの費用を請求できる点は押さえておきましょう。

(2)後遺障害がある場合

交通事故によって後遺障害を患った場合は、治療関係費や入通院慰謝料に加えて、2つの損害賠償金を請求することができます。

その2つは、以下のとおりです。

  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害逸失利益

まず、後遺障害を患うことで発生する精神的な苦痛に対する慰謝料を請求できます。

また、後遺障害を患ったことで、将来得られるはずだった収入に対する補償(逸失利益)も受けることが可能です。

従来通りに仕事ができなくなれば、降格や退職することになるかもしれません。

その際に将来の見込み収入が減少すれば、その分を逸失利益として補償してもらえます。

後遺障害に発展した場合の補償制度が手厚いことを覚えておきましょう。

なお、後遺障害慰謝料等の請求の流れは以下の記事でまとめているので、そちらもあわせてご確認ください。

2023.04.30

後遺障害等級認定後の損害賠償の支払いはいつ?申請方法について

(3)死亡した場合

万が一、交通事故によって死亡した場合は、以下の損害賠償を請求することができます。

  • 死亡慰謝料
  • 死亡逸失利益
  • 治療関係費
  • 入通院慰謝料

被害者と遺族が受けた精神的苦痛に対する慰謝料や死亡によって得られなくなった将来の収入に対する補償を受けることができます。

また、死亡するまでにかかった治療や入通院に関する費用を請求することも可能です。

まとめ

会社役員でも条件さえ満たせば、休業損害を請求することができます。

ただし、労働対価分の判断が難しいので、弁護士に相談するのがおすすめです。

もし休業損害が請求できない場合でも、治療関係費や入通院慰謝料等は損害賠償金として請求できるため、それらの手続を進めてみましょう。

弁護士法人みずきでは、休業損害に関する相談を無料で受け付けておりますので、会社役員で休業損害を請求できるのか知りたい方は、お気軽にご相談ください。

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執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
法律トラブルへの対処方法や解決方法は、個人の方、法人の方ごとに千差万別ですが、お早めにご相談いただくことで、選べる選択肢も多くなります。
どのような解決方法があなたにとって最適な選択となるのか、一緒に検討していきましょう。