全治2週間のむちうちの診断書を受け取った場合の示談の流れと対処法
「むちうちで全治2週間の診断書を受け取ったときの示談金がいくらなのか」
「全治2週間と言われたが、完治までそれ以上にかかったときはどうするのか」
交通事故でむちうちになった方の中には、全治2週間と診断され、どのような形で示談交渉が行われるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、むちうちで全治2週間の診断書を受け取ったときの示談交渉までの流れについてご紹介します。
1.全治2週間と診断されたときの3つの慰謝料
全治2週間と診断された場合、加害者に対して慰謝料を請求することができます。
慰謝料の計算方法はいくつかありますが、押さえておくべき算定基準は以下の3つです。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
それぞれの計算方法や特徴について解説していきます。
(1)自賠責基準
自賠責基準は、慰謝料を計算する上でベースとなる指標です。
事故の損害の補償を自賠責保険会社に請求するときに活用します。
むちうちによる賠償において、自賠責基準では、1日あたり4,300円の補償を受けることが可能です。
つまり、4,300円×対象日数で、慰謝料を計算することになります。
なお、対象日数には、治療期間(受診初日から治療終了日まで)と実際の治療日数(治療のために通院した日数)×2のうち、短い方が採用されます。
そのため、治療期間が半年でも、実際に通院した日数が30日であれば、実際の治療日数×2の方が日数が短いので、請求できる慰謝料は4,300円×60日=258,000円となります。
完治までに通院した日数が明らかになったら、自賠責基準で請求できる可能性がある金額を算定してみましょう。
(2)任意保険基準
加害者が任意保険に加入している場合は、相手方の保険会社に対して慰謝料を請求することになります。
その場合は、任意保険基準が使われます。
算定基準の詳細については公表されていないため、具体的な算定方法は不明ですが、自賠責基準とほとんど金額の差異はありません。
(3)弁護士基準
弁護士基準は、過去の裁判例をもとに設けられた慰謝料算定基準で、自賠責基準より高く設定されています。
算定方法は通院期間に応じて金額が設けられており、以下の別表で該当する箇所をチェックしてみましょう。
弁護士基準の傷害慰謝料は、原則として入通院期間を計算の基礎として上記の表を使用して算出します。
むちうち等で他覚的な所見がない場合は別表Ⅱを用います。
なお、弁護士基準は、弁護士が加害者と交渉する際に使われる基準なので、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。
具体的な金額を知りたい方は、弁護士に事故の状況を相談してみましょう。
2.むちうちで全治2週間の診断を受けた場合の示談成立までの流れ
むちうちで全治2週間の診断を受けた場合の示談成立までの流れについてご説明します。
大まかな流れは以下のとおりです。
- 治療
- 示談交渉開始
- 示談成立
- 示談金の入金
まずは、適正な慰謝料を請求するために、完治するまで治療を行います。
示談交渉は交通事故による損害額が確定されてから行われるものですので、焦らず治療に専念しましょう。
まだ治療が終わっていないにも関わらず、保険会社から通院治療の打ち切りを打診された場合については、以下の記事も参考にしてみてください。
治療が終わり次第、加害者(任意保険に加入している場合はその任意保険会社)と示談交渉を始めます。
示談交渉では、主に示談金に関するやり取りが行われ、任意保険会社が交通事故の状況に応じて慰謝料の金額を提示してきます。
このときに、事前に算定した自賠責基準による算定金額とどのくらいの差があるのか確認しておくと、任意保険基準による算定結果を的確に評価することができます。
交渉を繰り返し、示談の内容に納得したら示談書を作成して示談成立です。
最後に、入金日に示談金が振り込まれていることを確認しましょう。
3.完治まで2週間以上かかった場合の対処法
診断書では2週間と診断されても、実際に完治まで2週間以上かかることがあります。
その場合は、延びた期間を踏まえて慰謝料が計算されるので安心してください。
たとえば、完治まで1ヶ月かかった場合は、通院期間も1ヶ月として計算することになります。
なお、完治せずに症状固定の診断を受けて後遺障害として認められた場合には、入通院慰謝料(治療による負担に対する慰謝料)とは別に、後遺障害慰謝料を請求することが可能です。
治療を継続しても完治が見込めないと判断されたら、症状固定の診断を受けて、示談交渉を始める前に後遺障害等級認定を受けましょう。
後遺障害等級認定の方法については以下の記事で解説しています。
4.示談成立までに気をつける2つのポイント
示談成立までに注意すべきことがいくつかあります。
特に気をつけることは以下の2つです。
- 医師の指示通りに治療を継続する
- 示談交渉で加害者側の提案を鵜呑みにしない
適切な慰謝料を請求するために、最低限気をつけましょう。
(1)医師の指示通りに治療を継続する
全治2週間を症状が軽いと判断して、通院しない選択をする人がいるかもしれませんが、必ず医師の指示通りに治療を行うことが大切です。
入通院慰謝料に関しては、先ほどご紹介したように通院日数も影響してきます。
そのため、医師の指示に従わずに通院しないと減額になる可能性を否定できません。
また、万が一後遺症が残ってしまった場合は、適切に治療を行っていたかどうかで、後遺障害等級の認定結果に差が出ることもあります。
しっかり治療を行うことは重要なので、医師から提示されたスケジュールに沿って通院するようにしましょう。
(2)示談交渉で加害者側の提案を鵜呑みにしない
示談交渉で加害者側の提案に対して、素直に応じないことがポイントです。
任意保険会社と示談交渉をする際は、提示された示談金の金額が必ずしも適切というわけではありません。
交渉相手の任意保険会社は、被害者ではなく加害者側の立場で、なるべく示談金を抑えようと交渉してきます。
提示された金額に納得がいかない場合は、増額交渉を検討しましょう。
少しでも示談金の増額を図りたい方は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。
弁護士基準で算定することができるだけでなく、知識や経験をもとに被害者に有利になるように交渉を進めることができます。
自分自身で交渉を進める負担も軽減されるため、交渉を少しでも優位に進めたい方は、弁護士に相談しましょう。
まとめ
むちうちで全治2週間と診断されたら、まずは完治を目指して治療に専念しましょう。
完治したら、交通事故の状況証拠等をもとに示談交渉を始めます。
示談交渉では、任意保険会社が提示してくる金額が低く算定されている可能性が高いので、必ずしも相手方の提示する金額が正しいとは思わないようにしましょう。
少しでも高額な示談金を請求したい方は、弁護士に相談して、示談交渉を一任することをおすすめします。
弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、示談交渉等でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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