自己破産で同時廃止事件になる要件とは?同時廃止事件の主なメリット
「自己破産で同時廃止事件になるのはどのようなときなのか」
「同時廃止事件になるメリットは何なのか」
自己破産を検討している方の中には、同時廃止事件について調べている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、同時廃止事件の概要やメリット、同時廃止事件になるための要件についてご紹介します。
1.同時廃止事件とは
破産手続は、借金の理由や資産の有無などを調査し、配当できる資産がある場合は換価・配当等をしたうえで、債務を免除(免責)してもらう手続です。
この調査や配当を行う者を「破産管財人」といい、そのような手続を管財手続と言います。
もっとも、借金の理由に問題がない場合や、換価・配当できるような資産がないことが明らかな場合は、調査は不要です。
そのような場合には、調査などをする期間が要らないことから、手続が開始すると同時に廃止(終了)することとなります。
このような手続の事件を同時廃止事件といいます。
2.同時廃止事件で自己破産するメリット
同時廃止事件になるメリットはいくつかあります。
特にメリットと言える点は以下の3つです。
- 自己破産にかかる費用を抑えられる
- 手続終了までが短い
- 裁判所に行く回数が少ない
順にご説明します。
(1)自己破産にかかる費用を抑えられる
同時廃止事件の最大のメリットは、費用を抑えられる点です。
自己破産を行う場合、同時廃止事件と管財事件のどちらになっても予納金を納めなければなりません。
予納金とは、自己破産手続のために裁判所に納める費用のことです。
同時廃止事件と管財事件では、予納金の金額に大きな差があります。
というのも、管財事件の場合には、破産管財人の報酬を申立人が支払う必要がありますが、同時廃止事件では、これが必要ありません。
裁判所によって運用が異なりますが、管財事件の場合は最低でも20万円の予納金を支払わなければならない一方、同時廃止事件の場合は数万円程度で済みます。
このように予納金の金額に大きな差があります。
(2)手続終了までが短い
同時廃止事件は、管財事件と比べて手続終了までが短いことが多いです。
同時廃止事件の場合、破産手続が開始されると同時に、終了します。
その後に裁判所から債務を免除する決定(免責許可決定)が出されることになりますが、概ね3~4か月程度で出るのが一般的です。
一方、管財事件では、破産手続開始決定後、破産管財人が選任され、破産管財人による財産調査等が行われます。
最短で3か月ほどで手続が終了する場合もありますが、1年かかることもあります。
このように、管財事件では免責許可決定がでるまでに時間を要するため、この点でも同時廃止事件にメリットがあるといえるでしょう。
(3)裁判所に行く回数が少ない
破産手続きは裁判所を用いる手続きなので、手続中に裁判所へ出向く必要がある場合があります。
同時廃止事件の場合は、この回数が少ないのが特徴です。
1回で済むことがほとんどですし、裁判所によっては1回も裁判所に行かずに済むこともあります。
管財事件の場合には、債権者集会というものがあり、これに出席するために裁判所に足を運ぶ必要があります。
債権者集会とは、破産管財人が債権者に対し、手続の進捗状況を説明し、意見を聴くための手続で、破産者本人も出席する必要があります。
管財事件では、破産管財人の調査が終わるまで、債権者集会が複数回あるケースもあるため、同時廃止事件の方が、負担が少ないと言えます。
裁判所や破産管財人の事務所が遠くにある場合は、移動の手間がかかるため、移動費用と時間の負担が少ない点も同時廃止事件の大きなメリットでしょう。
3.同時廃止事件として扱われるための要件
同時廃止事件として扱われるためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
主な要件は以下の2つです。
- 一定金額以上の財産を所有していないこと
- 明らかな免責不許可事由に該当しないこと
ご自身のケースが同時廃止事件に該当するかチェックしてみましょう。
(1)一定金額以上の財産を所有していないこと
同時廃止事件となるためには換価・配当の必要がないことが明らかであることが求められますので、保有している資産の額がまず見られます。
裁判所によって多少異なりますが、同時廃止事件に割り振るための基準が定められています。
たとえば、東京地方裁判所の場合には、「現金が33万円未満かつ20万円以上の各種財産を所有していない」ことが同時廃止事件になるための基準となります。
(2)明らかな免責不許可事由に該当しないこと
法律上、破産手続きをしても借金の免除を許さない事由が決まっています。
これを免責不許可事由といいます。
代表的なものは以下のとおりです。
- 財産を隠したり、財産価値を下げたりする行為
- 特定の債権者だけに返済
- クレジットカードによる現金化
- ギャンブルや投資などによる浪費
- 虚偽報告
- 過去7年以内の自己破産経験
これらに該当する場合、原則として免責を受けることができません。
しかし、その場合でも破産管財人が調査をし、免責相当であることの意見を述べた場合、裁判所は裁量で免責の決定を行うことができます(「裁量免責」といいます)。
つまり、免責不許可事由がある場合は、その調査のため破産管財人が選任され、管財事件となるのです。
そのため、同時廃止事件として進めるためには、破産管財人による調査が不要であること、つまりは免責不許可事由に該当していないことが必要です。
まとめ
自己破産の手続が同時廃止事件になるとさまざまなメリットがあります。
管財事件に比べて費用が抑えられ、迅速に手続が終わる点が最大のメリットです。
ただし、同時廃止事件になるためにはいくつかの要件を満たす必要があるので、今回ご紹介した要件を参考にして、ご自身が同時廃止事件になる可能性があるのか確認してみましょう。
弁護士法人みずきでは、自己破産に関する相談を無料で受け付けておりますので、同時廃止事件のことで不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
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